シンガポールのスタートアップをGoogleが買収し、シンガポール拠点のエンジニアチームがさらに大きくなる(2016年02月21日)
PARTICIPATION, NOT PERMISSION -エンジニアマインドを持つ政治家が、世界で最初の「スマート国家」を目指すシンガポール-
で書いたように、シンガポールのリー・シェンロン首相や、外務大臣兼スマートネイション推進担当大臣のヴィヴィアン大臣はテクノロジーにメチャメチャ詳しく、かつ好きなことで知られている。
シンガポールとITでニュースというと、最近楽天の撤退が話題になっていたけど、そのあいだ
4日ほど、首相と外務大臣はASEAN-USサミットのためにシリコンバレーに言っていた。
二人のFacebookを見るだけで楽しそうにまわっていたのがわかる。
ただ会っただけでなくて、それぞれの会社で働く多くのシンガポール人従業員と会話してシリコンバレーの良さを聴いたり、一緒に写真を撮ったりしている。これはすごくよいことだ。
たとえば日本からメジャーリーグに行った野球選手、イチローみたいな人に向かって、国の代表が日本のことばっかり聴いたり、早く帰ってこいと言うよりも、応援したほうが野球ファンは嬉しいだろう。二人はよく「世界のIT最先端の会社でシンガポール人は活躍してる」と誇らしげに語る。彼らの中で狭いナショナリズムよりもエンジニアリングは上位にある。
しかもそれらの会社を訪問してすぐに、二人は、「よりエンジニアリングがセクシーに思われる国にする」とコメントをだしている。
各IT企業も、Facebookならザッカーバーグ、Googleならエリックシュミットとセルゲイブリンなど、トップそのものが直接出てきているし、社交辞令以外の交流をしていたようだ。ザッカーバーグは自らのFacebookにアツいコメントを残している。
間違いなくシンガポール首相よりザッカーバーグのほうが有名で、どっちかというとムリヤリ写真撮らせてもらって自分のFacebookにあげるようなところを、先方が上げてくれるのはすごい。
スマートネイションがらみでいくつも話をしていたらしいし、実際に実になる交渉もしてるんだろうと思っていたら、二人が帰ってきて1週間もたたないうちに、Googleから
「シンガポールに新しいエンジニアリングチームを作る」
というニュースが出た。ヴィヴィアン外務大臣は直接Facebookでそれに言及してる。シンガポール関連のITニュースは、ヴィヴィアン大臣のFacebook見てる方がメディアより正確なことがよくある。
内容は、Pie.coというSlackのような企業内メッセージングシステムをつくっているシンガポール発のスタートアップをGoogleが買収し、さらに多くのエンジニアを雇用して、エンジニアチームを大きくすると言う話だ。
東南アジアのスマートホンベースのインターネットはさらに拡大していて、よい回線とデータセンターのあるシンガポールは、そこに向けた拠点として最高だと書かれている。
そして、今日になって、ghostというイギリス発の有料ブログプラットフォーム(使ったことないけど、たぶんnoteみたいな感じ?)が、イギリスからシンガポールに移るというニュースを出した。そこまで有名な会社じゃないと思うけど、ヴィヴィアン大臣は早速自分のFacebookに、「今はGithubのブログ機能を使ってるんだけど、良いサービスは探してるんだよねー」とコメントしている。たぶんghostの人たちも、いきなり外務大臣からコメントされるとは思わなかったんじゃなかろうか。
書籍にも1章ほぼシンガポールのスマートネイションの話を書いたけど、シンガポールの政治家たちは、ほんとうにメイカーたちのエコシステムの中にいるなあと思う。
メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。 (OnDeck Books(NextPublishing))
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