中国語を学ぶ最大のメリットは、まわりに勉強好きな中国人が集まってくること

まとめ:「勉強が好きで、他人が勉強してるとうれしがる華人/中国人」というのはけっこう沢山いて、かつ起業家・投資家・開発者などのパワーある人が多く、勉強してる様子が伝わると、とても良い

もともとまったく話せなかったので、少し中国語を勉強しています。
僕は深圳と関わるようになって5年になる。オープンソースハードウェアがらみなので、まわりの中国人はみんな英語が喋れる。ニコ技深圳観察会2017年の伊藤亜聖東大准教授のブログ深圳在外研究メモ には、当時の僕の中国語レベルについてこう記述がある。

ニコ技深圳観察会の、企画者である高須さんはチャイナスぺシャリストではありません。高須さんは中国のレストランで自力で中国語で注文し、支払いを済ませられる程度には中国語ができますが、おそらくまだプレゼンはできませんし、「弊社は2015年に創業し、2年間の間に急成長したカメラメーカーです」といった中国語は理解できないと思います。ところが、ここで重要なことは、高須さんは中国語はできないですが、それでも、深圳のメイカーズ、スタートアップコミュニティに、少なくとも日本人としては最も、そしてグローバルにみてもかなりディープにコミットし、また深く理解していることです。 — №2 ニコ技深圳観察会 (2017年4月)そもそもなぜ「非チャイナスペシャリスト」がツアーを企画でき、なぜそれが大事なのか編

2016年ぐらいからアプリ(ロゼッタストーン)で雑に勉強していたが、伊藤先生の書いたとおり、ほんの2年前の2017年頃はそんな感じだった。
その後2018年春から深圳大学に留学して中国語を勉強しはじめた。大学には語学生として3期(1年半)いたけど、年の60–70%は出張してる身ではぜんぜん出席できなくて捗らず、今はSkypeの中国語講座NetChaiで勉強している。
基本的には
・教科書を自分で読む
・先生と一緒に呼んで読み方をチェックしてもらう
・練習問題を解いて先生にチェックしてもらう
という何の変哲もない勉強法だ。skype一回が25–30分なので、一日あたりの勉強時間は1時間弱ぐらい。
今勉強している教科書はこういうもので、さすがに今なら「弊社は2015年に創業し、2年間の間に急成長したカメラメーカーです」ぐらいはわかるし、自分でも喋れる。

中級商務漢語会話で、今日やる17課。OEM生産とか。

僕の中国語レベル
HSK5級のテストをこないだ受かった。5級というのはこのぐらいのようだ。

中国語の新聞や雑誌が読めるだけでなく、中国の映画やテレビも観賞でき、さらに、中国語でスピーチすることができる」ことが求められます。主に週2~4回の授業を2年間以上習い、2,500語程度の常用単語を習得している者を対象としています。 — 各級の紹介 筆記5級

本当にテレビや映画の内容がぜんぶわかるならすごいが、僕の場合はぜんぜん褒められたものでなく、「相手が外人だと思って簡単に話してくれたら、何とか意思疎通できる」ぐらい。僕は英語だとTOEIC660点ぐらいなのだけど、中国語だと英語の半分ぐらいの意思疎通だと感じる。

自分で作った原稿なら、10分弱のスピーチぐらいはできる。でも、事前に何度も練習している。

中国語を学ぶ、実用性以外の最大のメリットはコミュニティ
喋れた方が便利に決まっているのだけど、今回ブログを書こうと思ったのは実用性以外のメリットの話だ。
僕の仕事はGlobal Business Developmentで、中国の取引先も多いが、彼らはだいたい流ちょうに英語が喋れる。なので商談はだいたい英語で進むのだが、「中国語を勉強しているんですよ」と話し、少し中国語を話すと相手は喜んでくれる。たいていの取引先とは長いつきあいになるので、3ヶ月後や半年後に会ったときにこちらのレベルが上がっていると、めざとく気づいて喜んでくれるのだ。
先日漢語水平試験5級の合格通知をWechatに挙げたときにも、多くの取引先でえらい立場にいる人たちからいいね!がついた。メイカーフェア台北でもシンガポールメイカーフェアでも、古くからの友人が喜んでくれた。シンガポール人なんか、ずっと僕と英語で喋るのに。

成績が上がるたびに、他の投稿よりも沢山のレスがつく。取引先とかからのものも多い。

勉強好きな外国人とコミュニティをつくれる良さ
こういう時にいいね!をくれる外国人は、本人も苦労して外国語をおぼえたり、今時点でもスキルアップをしている人が多い。そういう人たちは他人が勉強している話やその成果にめざとく反応する。
また、エンジニアや投資家、起業家といったパワーのある人たちも、「中年になっても努力できる」ことの価値を知っている。アジアのほとんどの国では、みんな「未来は明るい」「未来は自分の力でなんとかできる」と思っている。その思いが勉強に向くことは多い
僕は頼るもののない外国人だから、まわりにそういう人たちが寄ってきてくれるのは助かる。

自分が勉強することがまわりの中国人の刺激になっている。これはDFRobotのRachel。PwCからMaker企業に転職した才媛。

もちろん中国語も喋れた方が日常生活では絶対に得なのだが、どれぐらい必須かと言われると困ってしまう。
中国とハードウェアの仕事をしている日本人でも、中国語を話せない人はそれなりにいる。僕は2015年のメイカーフェア深圳で、1ヶ月まるまる深圳で仕事をしていたのだけど、英語ができるスタッフに囲まれていた。もちろん中国語のプレゼンが聞けてイベントに行けてインタビューに行けるのはすばらしいメリットだ。このDumangキーボード記事での会話はぜんぶ中国語。

でも、そういう実利よりも、こうしたコミュニティ形成や自分自身の安定が大きいかもしれない。僕の仕事はストレートに努力が結果に繋がるわけではない。相手の都合やマーケットの状況といった外的要因はいつもつきまとう。副業の原稿書きや講演も、会心の出来なら多くの人に読まれるかというとそうでもない。そのなかで「やればやっただけ上がっていく」という要素があるのはアイデンティティとしてありがたくもある。

僕は英語もぜんぜんダメな状況から40歳をこえてやっと勉強し始めた。それまでに比べると、英語や中国語を学び始めてからの方が日々面白おかしくすごせていると思う。よくわからない不安や焦燥感に襲われることがだいぶ減った。
別に中国語に限らず、英語でも数学でもいいけど、海外暮らしをしている人、努力がストレートに結果に結びつかない仕事をしている人は、improve myselfを続けることで少し人生をよい方向に向けられると思う。

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