中国語初心者(HSK3級)がイベントでプレゼンするまで

TAKASU Masakazu/高須正和
7 min readJun 19, 2019

中国語でプレゼンをする
僕は深圳市のiMakerBase創客基地でメンターをしている。せいぜい人の紹介をするだけの名前だけメンターだが、iMakerBaseは政府のお金も入っているインキュベーション施設なので、国際的なつながりをアピールする必要があるのは理解できるし、僕も深圳のメイカーたちと繋がれるのは嬉しいので続けている。
そこから、深圳市光明区のイノベーションスペースがオープンする際のイベントで、登壇依頼があった。そのプレゼンを中国語でやることにした。

中国語でのプレゼン

せっかく中国に住んでても、あまり学校に行けない日々
僕は年の40%ぐらいを深圳、残りの60%はいろいろな国のメイカーフェアを飛び回る生活をここ数年続けている。昨年から深圳大学の語学コースに通っていた。(お金を払えば誰でも行ける。ShaoさんのブログShenzhen Fanに詳しい)
が、四割程度の出席率なので「行かないよりはよっぽどマシ」なものの、あまり進捗が出ていなかった。僕が子供っぽいので、うまくいかないとやる気もなくなってしまう。若い頃から怠け者で、車の免許(これは取った)にせよ大学での教職(落とした)にせよ塾にせよ、あんまり真面目に通えなかった。遅刻も多くて、タイムカードあるような会社に居たときはよく怒られたし苦痛だった。今みたいな働き方ができるようになってよかった。
予習復習、課題などを通じて語学学習は進化するが、休みすぎるとどうしても「学校行って座ってるだけ」になってしまう。なので、1年半も通いながら、漢語水平試験(HSK)は3級と、漢字が読める日本人ならヘタすると1–2ヶ月で達するようなレベルで足踏みしていた。ちゃんとやれば効果のある学校なのに、もったいない限りだ。
お客さんがそれなりに入った舞台で、きちんと仕事としての依頼で中国語で話すのは、そんな毎日を変えるいいきっかけになると思った。

そういえば、僕は英語も中年になってから学習したのだけど、そこでも大きい舞台で話したことで、その後の学習が捗ったのだ。

なにしろ自分のポスターや看板が用意されている。気合いは入る。

プレゼンの準備
プレゼンは相手があってやることなので、面白さのベースは話題で決まる。どんな話題が良いかは客層によるが、プレゼンの内容は(最初は)自分の頭にしかないので、自分で決めるしかない。
今回はインキュベーションスペースのオープンなので、「投資家抜き、DIYで製品を作る活動+スイッチサイエンスの企業紹介」みたいな内容にした。英語や日本語なら何度か喋ったテーマで、自治体や起業家が聞きに来るならウケるはずだ。売り上げの数字みたいな、自分の説明が雑でも理解しやすい数字も多めに入れた。
最初のスライドは辞書やgoogle 翻訳などをつかって書き上げた。google翻訳は最小限にするようにした。知らない単語や言い回しが増えると話せないし、それなら多少つたなくても自分の言葉で説明しきれるようにスライドを変えた方がいい。そのためにも、最初のスライドは自分で創りきる必要がある。

プレゼン上達のためには
プレゼン上達の方法は一つしかなくて、人前でやってフィードバックを受け、内容を変えることだ。なるべくなら実際の聴衆に近い人に聞いてもらうと良い。
今回はiMakerBaseにZoeiという友達がいて、彼女は日本語も上手だ。なので、彼女の前でプレゼンをまず聞いてもらって、説明が足りないところを「どういうことを言えば伝わるか」とフィードバックしてもらった。このときの発音は、ガタガタでも構わなくて、なるべく早い時期(スライドをなおす余裕のあるとき)に見てもらう必要がある。大事に練習して、未完成のモノに愛着が出てきても良いことはない。
「東京のDIYカルチャーは、それなりに時間の余裕があることで生まれていて、深圳だと何でも仕事になっちゃう」という部分で、「成都だとDIYバザールとかもあるけど、深圳はないよ」みたいな説明が出てくるところなんかは、彼女のフィードバックによる。
1時間ぐらいの練習+ミーティングで、発音には課題大だけど、内容としては面白いところまではできた。

オンライン中国語会話+アプリで発音を練習
次の課題は発音の練習で、これは反復練習がほとんどだ。中国語や英語の読み上げアプリはかなり正確なので、これで聞きながら話すことを何度も繰り返すしかない。
同時に、この時期からNetChaiというオンラインの中国語会話サービスをはじめた。大学と同じ教科書を使って、skypeでマンツーマンで中国語の練習をするサービスだが、僕はスライドの内容を先生に送って発音やリズムをチェックしてもらった。4声の発音はそう簡単に綺麗にならない。しかし、4声と同じぐらい重要な単語の切れ目は、文章さえ決まっていれば簡単に身につく。日本語とさほど変わらないからだ。

たとえば、 我叫高,我是日本人。は、中国語でも我是(あいだ)日本人のように発音する。これを我是日(あいだ)本人と発音するとまったく通じない。また、「一番の」「完了した」などの部分は他より大きめに言う必要がある。こうした単語の切れ目と強調部分で、日本語と中国語はよく似ていると感じる。。
中国語や英語の読み上げアプリはかなり正確で、単語もキッチリ切ってくれるが、強調部分は曖昧なところがある。
また、文字だけを見ると、僕の原稿にはまだ微妙なところがあった。Skypeの向こうの先生は、それも治してくれた。

原稿に赤字を入れてもらった。

赤を入れてもらった原稿を読み上げアプリでまた練習して、2回目のSkype中国語会話の先生に聞いてもらってだいたい「よし」となったところで本番を迎えた。

本番

本番

もちろんPPTのノートの部分にピンインでアンチョコは書いてあったし、「本番ではそれを見るから僕のPCを使わせてくれ」と頼んでいたんだけど、現場ではそれが守られないことはままある。特に中国では。多めに練習をしておいて良かった。あとは、演台じゃなくてハンドマイクにしてもらって、スライドと自分が同じ視野に入るようにするとか、ビビらないとか、聴衆の目を見ながら(特に、ちゃんと聞いてくれてそうな反応して来る人を見ながら話すと安心できる)話すとか、何語でも変わらない。
何より本番中は緊張するから、特別なことはできないものだ。結果は準備でほぼ決まっている。

ゲストと登壇者の皆さん
ほぼ名前だけのものだけど、このメイカースペースとも新しいつながりができた。

無事に喜んでもらえたし、動画を中国の動画サイトに上げておいたら、他からの登壇依頼も来た。もともとメイカーカーニバル上海やメイカーフェア台北、深圳など、中国語で喋るべき場所はあるし、内容も本当は今の倍ぐらい話すことがあるので、しばらく練習は続くだろう。

オンライン中国語会話のNetChaiは、その後も続けていて、今のところは平日毎日、自習(合計30分~1時間ぐらい)とSkype(30分ぐらい)の学習を続けている。

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