ソースを見ずに話すと時間を無駄にする(2016年11月27日)
自分も面倒でサボりがちな話なので、自戒を込めて書く。
情報化社会のおかげで、世界が変化するスピードがもっと速くなっていて、かつ多様化しているので、「何にでも解説できて詳しい」という人はいないし、そういう人の話の価値は下がっていて、ソースをあたるべきだし、興味を持つ範囲を狭めて実際に体験していく量を増やしてくべきだ、と言う話だ。。
最近、「Xiaomiがスマートホン売れなくて困ってますね」みたいな話題を聞かれることがあり、毎回「前はデキのいいスマホのプレーヤーが中華は少なかったけど、今はいっぱいあってレッドオーシャンすぎるから、家電とか別の分野に注力してるように思いますよ」と答えていた。2016年8月、10月のニコ技深圳観察会の参加者は、そういう話を僕から聞いた人があるはずだ。
僕がそう感じたのは何度かたずねたXiaomi直営店で、家電のスペースの方が圧倒的に大きかったし、モデルルームとか作って力が入ってたし、何個か買った家電はなかなかよかったからだ。もう一つ、Xiaomiがどこで儲けてるかのデータを見たことがなかったからだ。非上場だし。
でも、僕がそう答えても、話した相手にとって数日後には「なかったこと」になっていたようで、同じような話を人に言ってたりする。世の中はそういうものだ。
最近、Xiaomiはハードウェアの販売から利益を得ていないというTechcrunchのニュースから派生した話題をタイムラインでよく見かけるし、質問されることもあるのでちょっと見てみた。「Xiaomiのスマホが売れないので、amazonの読み放題サービスみたいに、サービスから利益を得るモデルにシフトしてる」みたいな趣旨の記事だ。
原文では、「ロイターでXiaomiのHugo Barraがそう語った」と書いてある。リンクしているロイターの記事を見たら、「スマートホンは利益を上げない市場になってるので家電製品とかを大事にしてる。お金には困ってない」的な趣旨が書いてある。
また、英語版のTechCrunchを見ると、
なぜなら、同社はハードウェアの販売によってすぐに得られるマージンではなく、「その後に何年間も継続して得ることができる収益を狙っている」からだ。
となっている部分はこういう英文になっている。
前後の文脈を読むと、「部分じゃなくて全体や推移を見てくれ」的な事を言っているように思える。
英文のタイトルはXiaomi admits it doesn’t make money on smartphone hardware salesで、「Xiamiの人もスマートホンの売り上げが儲かってないことを認めている」的な内容なんだけど、サービスで儲けている・儲けようとしているというのは、Xiaomiの人は言っていない記者の推測だ。もちろん、あたる推測かも知れないし、推測は悪いことじゃないんだけど、推測を決定と思い込むと時間を無駄にする。
もちろん、音楽配信サービスとか、サービスで儲けてる会社はいっぱいある。ハード売るよりそういうBusinessが強くなってくのは先進国の風潮でもある。でも、僕はXiaomiのサイトを、自分が欲しいものをチェックするためによく見るけど、そういうサービスはじめたことを知らないし、Xiaomiの直営店に行ってもそういうサービスの案内はなかった。「Xiaomiはamazon型になろうとしてる」と書いてるこの記者は知ってるのかな?
けっこう、何人かのインテリで、上記の前提の向こうで長文のエントリを書いてる人を見たので、こういうエントリを書いた。
一年前ぐらいに、
世の中には3種類の嘘がある: 嘘、統計、そして「海外ではこう知られている」
というブログエントリを書いた。
今回書いたのも同じような話だ。
なお、TechCrunchほか、どのマスコミも英文と日本文でタイトル変えることがある。
例:ブルームバーグ
女性起業家が懸ける新型VR端末-没入感高める視線追跡技術
29-Year-Old Gamer Leaves Sony Behind to Bring Eye-Tracking to Virtual Reality
日本だと、「29歳のゲーマー」より「女性起業家」がいいんだろう。